GreenICN プロジェクト
GreenICNプロジェクトは、独立行政法人情報通信研究機構 (NICT) および 欧州委員会 第7次研究枠組み計画 (FP7) から研究費支援を受けている日欧合同の研究プロジェクトです. GreenICNプロジェクトは, 日欧の企業, 大学あわせて12機関が協力して進めています.
これまでのインターネットにおけるネットワークの役割は, ユーザに対してホストへの接続性を提供するというものであり, ユーザとホストの間でやりとりされる情報に関して関与する事はありませんでした. これに対して, ICN (Information Centric Networking) は, すべての情報 (コンテンツ) は名前を持ち, ネットワークの役割は情報とユーザを結びつけることであるという, 新しいパラダイムを提案するものです. ネットワークが流れる情報を考慮することにより, ネットワーク内で情報のキャッシュなど, 効率的なコンテンツ配信が実現できると考えられています. さらに, エンド-エンド (ユーザとホストの間) の接続性を保証することから解放されることにより, ネットワークのデザインをシンプルにできることも期待されています.
しかしながら, ICNに関する研究は未だに初期段階にあり, 命名規則やスケーラビリティ, 経路制御, リソース制御, プライバシー, 現在のインターネットからの移行方法など, 多くな重要な課題が残ったままです. また, 電力利用効率といった面からの取り組みも十分でないのが現状です. そこで, GreenICNプロジェクトでは, 2つの応用シナリオにおいて, ネットワークインフラとネットワークに接続されたデバイスの双方が, 高いスケーラビリティと電力効率を確保する手法について取り組みます.
- ハリケーンや津波のような災害直後、電源供給や通信手段が制限された条件下において、災害情報や救助情報を効率良く配信するシナリオ。このシナリオで課題となるのは、断続的な接続しか確保できず、ネットワークが断片化された状況で、それらをいかに活用するかである。
- スケーラブルかつ効率的なPublish/Subscribeモデルによる動画配信シナリオ。このシナリオで課題となるのは、通常時、災害時双方においてスケーラビリティと電力効率の高さを両立させることである。
らに、GreenICNプロジェクトでは、日欧の企業/ユーザ双方に対して、ICNを利用した新しいアプリケーションやサービスの創出を促すため、機能豊富なAPIを公開する。